「心中する前の日の心持ちで、つき合って行かないか?」
今度は大人の恋だという。
四十男と四十女の恋。
だからといってホテルで密会するでもなく、本音を言えず見栄を張り合うでもなく。
ただ、ある程度年を取ったが故に死というものについて少し身近になり、
明日相手を失うかもしれない。
でもまだ先だけど?
いやいや安心できる理由はない。
そんな微妙な年齢の二人の恋は、取るに足らない細かなことさえ慈しみ、
一緒の時間を大事に過ごすことができる。
時折、様々な恋愛小説の一節が小説の中に挿入されているのもとても効果的。
愛と生、恋人と家族、そして死。
この絡め方がとてもうまく、
だからこそめろめろでべたべたで熱々の恋も、辟易することなく切なく読ませる。
大事な存在を得ると、死が身近になる。
全ては表裏一体なのだ。
無銭優雅
山田 詠美
幻冬舎 2007-01-31
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でもまだ先だけど?
いやいや安心できる理由はない。
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