歌人としてエッセイストとして活躍していた著者が、初めて小説を書く。
不安定な響きとバランスを感じるタイトル。
それだけでこの作品は、
小説に必要な『吸引力』のようなものを、すでに持っていたと思う。
ストーリーはいってみればありがち。
穏やかな年上の彼との不倫関係。
刺激をくれる年下の彼との恋愛。
この人は、サラダ記念日やチョコレート革命の時もそうだったように、
自らを投影して書く。小説もまた然りか。
作品は、歌と同様リズム感があり読みやすく、柔らかい文章はとてもいい。
だが、やはりこの人は歌人なんだと思う。
言葉の選び方やつなぎ方、空気感はさすが。
しかし小説もいいが歌を詠んで欲しい。
かえってそう思った。
トリアングル
俵 万智 
中央公論新社 2006-09
売り上げランキング : 24511
おすすめ平均 
古典文学のように
一気に読みました本編はもちろんの事、解説も最高！
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単純にとても面白かった！
設定は無茶苦茶。妙な迫力もアリ。
ドキドキしてイライラして目が離せない。
天才と○○は紙一重、とはよく言うが、
この医者が変人であることは間違いなく、善人でないことも。
しかし治療してしまうんだから痛快でもあり？
独特の世界観はやみつきになること必至。
こんな医者にかかりたいかどうかは悩むが、もっと読みたい。もっと見たい。
エンターテイメント性抜群の作品だ。
イン・ザ・プール
奥田 英朗 
文藝春秋 2006-03-10
売り上げランキング : 4180
おすすめ平均 迷医に見える名医？素敵なバカバカしさこんなの大好き
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私にとっては特別な本。
小学生の時に初めて読んだ。
物心ついた時からお話が大好きで、
幼稚園でも絵本をたくさん読んでいたようだが、本屋さんで一目惚れ。
おねだり下手で内気な子供だった私が、
何か特別なパワー？に導かれて、祖父に買ってもらった。
辞書のように分厚くて重い本。
その物語の吸引力に、夢中でページを繰ったのを覚えている。
いくらでも解釈が成り立つので、
何度読み返しても新鮮で、いつも何かを与えてくれる。
タイトルも秀逸。
人にも動物にも土地にもそれぞれに物語があり、連なり、絡み合う。
本当に大事なものは？
人間を形作っているものは？
私の中で『おはなし』といえばこの本だ。
はてしない物語
ミヒャエル・エンデ 上田 真而子 佐藤 真理子 
岩波書店 1982-06
売り上げランキング : 7663
おすすめ平均 外の音が聞こえなくなる■賞味期限がある本■物語る本書の危険
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どうしても借金はダメだ。
当たり前だけど改めて。
カードに対する恐怖もベッタリ！
元来『できるだけ現金で』主義の私。
これでカード恐怖症、さらに増。
ただ幸せになりたい。
そんな平凡な気持ちの足下に、深い穴がパックリ。
人生の転落も犯罪も、決して遠くの世界の話ではない。
さすがに人気作家の代表作。
読み応え十分で面白い。
ただ、個人的な好みからいくと、まぁまぁ。
作品の持つ空気感との相性、か。
読み手の年齢や状況と、本との関係にタイミングはとても重要だと思うので、
宮部さんの作品は先の楽しみとして、少しとっておこう。
火車
宮部 みゆき 
新潮社 1998-01
売り上げランキング : 6177
おすすめ平均 
クレジットカードは怖いですね傑作断トツ
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３編からなる。
表題作の『幸福な遊戯』に『無愁天使』『銭湯』
少し不幸で情けなくて、でもどこかかわいらしい。
そんな女性たちの物語。
角田さんのデビュー作だった。
描ける人というのはいるものだ。
ただ文字を書いているだけなのに、情景を、感情を描き出すのがうまい。
設定はとんでもなくても、感情の描写がとてもリアルで容赦がない。
３編の中では『銭湯』が好きだ。
そして、少し心が痛む。
銭湯に来る、いろんな人生を背負った女たち。
人生『こんなもん』と思いつつも、
現状を受け入れることも打破することもできず、宙ぶらりんな主人公。
それはとてもリアルで、誰もが思い当たる節があるだろう。
幸福な遊戯
角田 光代 
角川書店 2003-11
売り上げランキング : 175441
おすすめ平均 
仮想的な自分を通して家族のあり方を問う幸福な・・・
期待はずれ･･･
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面白くって泣けて読後感もよい。
どの世代の方でも楽しめる秀作。
設定のとんでもなさに加え、登場人物も個性的。
泣けるが深刻さや説教臭さは皆無。
文章のテンポもよいので、ついつい時間がたつのを忘れる感じ。
読書は娯楽であることを思い出させてくれる。
自分の周りにいる人たちに、もっと優しくしよう。
素直に愛情を注ぎ、注がれている愛情に気づき、感謝しよう。
精一杯生きて、いずれは楽しく『極楽往生だ〜』(笑)
椿山課長の七日間
浅田 次郎 
朝日新聞社 2005-09-15
売り上げランキング : 26912
おすすめ平均 さすが浅田先生。すごく大好きな作品都合の良いストーリー
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いやはや。
よくもこれだけ不幸に不運が重なるか、と。
それでも松子はとても素敵。
嫌われ松子だけど。
一生懸命で滅茶苦茶で無謀。
その生き様はもう散々で、絵に描いたような転落人生。
絶対にあんな目には遭いたくないけれど、
彼女が最低だとは感じない。
人生、幸福なのか不幸なのか。
価値があるのかないのか。
当たり前だけど、1つの物差しでは測れない。
嫌われ松子の一生 (上)
山田 宗樹 
幻冬舎 2004-08
売り上げランキング : 93315
おすすめ平均 映画とはいっそ「別物」として…胸が悪くなったアイデア先行。
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子供の時に読めなかったのが残念。
どんな感覚で読んだろう？
今でも児童書は好きでよく読む。
出来の良いそれは大人向けのそれよりもずっといい。
何かを得る。捨てる。
妥協する。バランスをとる。
巧はその、どれもやらない。
周囲はとまどい、苛立ち、時に傲慢に感じる。
手を差しのべようとする。
自らを投影しようとする。
そのどれもが失敗。
そんな簡単なものではない。
子供扱いされることも望んでいない。
野球をモチーフにしているが、単純に野球小説でないことは確か。
| バッテリー | |
 | あさの あつこ 角川書店 2003-12 売り上げランキング : 2622 おすすめ平均 登場人物の個性が、実に生き生きと描かれているなあ何がいいのかわかりません巧君すげー！！Amazonで詳しく見る by G-Tools |
まずタイトルにやられた。
そこですでに完敗。
江國さんの言葉選びは抜群。
緩やかな空気の中、
紡がれる言葉はふうわりとして、やるせない。
一見の美しさに油断するが、なかなかの性悪。
骨太で、ままならない。
12の短編からなるが『そこなう』がいい。
何かがそこなわれる時、
特に男女の間でのそれは決して理屈でなく、フェアでさえない。
『前進、もしくは前進のように思われるもの』
『溝』
『こまつま』
そのどれもがいじらしく、辛いが、愛しい。
彼女の物語は、手強い。
号泣する準備はできていた
江國 香織 
新潮社 2006-06
売り上げランキング : 109505
おすすめ平均 う〜ん、ダルイ呼吸するように女性の人生の断面を描く
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とにかく疾走しながら最後まで。
映像的な小説。
アニメかＰＶを見ているような。
走っているシーンはこちらまで気持ちがいい。
トラックは一周400m。
800m走者はTWO LAP RUNNERSと呼ばれる。
初めて知った、800mのこと。
いい小説だと思う。
ただ好きかと聞かれれば、それほど。
好みの問題。
800
川島 誠 
角川書店 2002-06
売り上げランキング : 83177
おすすめ平均 力量とセンスを感じさせる作品青春小説の最高峰陸上競技だなんてシブイじゃないの
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希有な人。
とても魅力的だ。
見た目もいい。服も小洒落ている。
これは重要。
障害があろうがなかろうが印象に影響する。
物語としても面白い。
文章も軽快で嫌みがなく、説教臭さも皆無。
インパクトだけでも読めるが、
オトちゃんのかわいらしさやたくましさに『五体不満足』なことなんて忘れる。
この本は得ることも考えることも多いのは間違いないが、
読後の『面白かった』感が印象的。
五体不満足―完全版
乙武 洋匡 
講談社 2001-04
売り上げランキング : 5045
おすすめ平均 恵みとは想像力の乏しい健常者達心を打つ熱いものは得られなかった。
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なんだか、すごい吸引力だった。
題字と表紙の関係。
気になって、気になって、気になって。
ジャケ買い。
･･･負けた(笑)
川上さんの文章は独特のふうっとした感じ。
空想的だけど甘やかでなく、じんわり切ない。
『溺レる』は、必死にもがくのではなく、
寧ろ緩やかに沈みゆく感じ。
大人の、きれいなだけではない恋愛。
恋愛でないかもしれない心の揺れ。
あるいは惰性。
それが、うまく表現されている。
買ってよかった。
溺レる
川上 弘美 
文藝春秋 2002-09
売り上げランキング : 100896
おすすめ平均 うめー溺レる秀逸！
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あぁ嫌。
身に覚え、ある(笑)
テルコほど無私にはなれないものの、
電話きそう？と帰宅しない。
忙しくても『ちょうどいいよ！』って答える。
『ヒマ』にするために前日徹夜。
一生会えないよりは、と『友達の顔』
『口実』にしがみつく。
全部やった。
あぁ嫌、嫌、嫌。
これでは幸運、廻ってこない？
悪くないけど。
片思い。
つきあっていても、片思い。
別れてからも、片思い。
目を覆いたくなるか、共感するか。
身につまされる人は多いはず。
愛がなんだ
角田 光代 
角川書店 2006-02
売り上げランキング : 269856
おすすめ平均 そんな男、さっさと捨てろよ？片思い恋愛最優先の怖さ
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うつの知識。
『がんばれと言ってはいけない』
『死にたい、と言い出す』
ぼんやりと、それくらい。
以前から興味はあった。
仕事関係で発症された方。
実は以前、と言われる方と出会っていたから。
この本は深刻ぶらず、
その実態をわかりやすく、ユーモアにくるんで読ませてくれる。
迂闊な一言が思わぬダメージを与えてしまうのが怖くて、
深く接するのを避けていた自分がいたが、
タイトルの『ツレがうつになりまして』に、ガーンときた。
ツレが、私が、発症することもある。
他人事ではない。
当たり前のこと。
うつの入口には、立った覚えもある(笑)
この本は読み物としても楽しめ、絵もかわいく解りやすい。
ツレと、二人で生きていくこととは？
『健やかなるときも病めるときも･･･』の本当の意味も考えさせてくれる。
良い本だ。
ツレがうつになりまして。
細川 貂々 
幻冬舎 2006-03
売り上げランキング : 564
おすすめ平均 深刻な状況をさらりと私も立派にうつだなぁ本にしてくれてありがとう。
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『あたしンち』でブライクした作者の、
私生活をモチーフにした日常漫画。
『たたかうお嫁さま』『いっしょにスーパー』等、
婚約〜新婚〜３年目と続くセキララシリーズの７年目。
初めて読んだ時は独身だったのに、
なぜか最も共感でき、笑ったのがこの『７年目』だった。
収録の「ケンカ」などはまるで我が身を見ているよう(笑)
どの刊で共感するかが人により違うのも面白い。
7年目のセキララ結婚生活
けら えいこ 
メディアファクトリー 1999-03
売り上げランキング : 45347
おすすめ平均 微妙な感覚のズレを拡大するのが相変わらず上手いほのぼのします。ちょっと、ネタのパンチ不足
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評判の作品。
初見はなぜか劇団ひとり氏の作品と気づかず。その後すぐに気づくも素通り。
で、なんなんだの高評価に、好奇心が負け後日購入。
帯の恩田陸さんのコメント
『ビギナーズ・ラックにしては上手すぎる。あと二冊は書いてもらわなきゃ』が効いた。
短編集かと思ったら５編からなる連作。
作品は読みやすくストーリーもいい。
軽いタッチで読後感もよく、仕掛けも巧いので普段ほとんど本を読まない人でも楽しめる。
気になるところは逆にさらっとしすぎているところか。
時々、ひどく巧い作文を読んでいるような気がして、物語世界に没頭しきれなくなるのだ。
だが非凡なことは確か。
作家 劇団ひとりの次作が楽しみだ。
陰日向に咲く
劇団ひとり 
幻冬舎 2006-01
売り上げランキング : 236
おすすめ平均 よく分からない・・・気持ちが楽になりました^O^ 最初から順番に
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切ない。とても。
だが、彼の作品中いちばん好きだ。
きれいごとばかりではない描写に、
設定の馬鹿らしさも気づけばなじんでいる。
サクサク読めてドキドキして、
最後は驚いて切なくて愛しくて。
読むたびにいろんな想いで泣けてくる。
傑作。
秘密
東野 圭吾 
文藝春秋 2001-05
売り上げランキング : 1860
おすすめ平均 最高の作品「愛する」ということとは何か。ラストの「秘密」に驚愕
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タイトルの『憑き』は『取り憑かれる』の『憑』
人はよいが金がない。運がない。
御徒士の彦四郎はひょんなことからうらびれた祠に手を合わせてしまい、
貧乏神、疫病神、死神と、有り難くもない神々に次々に憑かれるハメになる。
設定だけでもわかるように娯楽性の高い作品だが、ほろりとするところもしっかり。
こんな幕末の描き方もあるのだなぁ、と感心した。
面白さの中に生きっぷり、死にっぷり。
身の振り方等、いろいろ考えさせてくれる。
全うすべき己の人生とは何か？秀作。大傑作ではないが、なかなか。生きる事の意味を問う感動作恋愛ものを書かせたら右にでるものはいないのではないだろうか。
彼女は美しいものも危うげなものも儚いものも醜いものもなにもかも、
気がつけば、まるごとひっくるめて『恋愛』という波にのみ込み、甘美なスパイスにする。
恋愛の『気分』に浸るならこの人だ。
この作品は、彼女の作品の中では主人公が高校生、
舞台も日本ということもあってか比較的慎ましい、可愛らしい雰囲気を持つ。
決して作品のパワーが足りないわけではない。
それどころか、いくつになってもこの本を読むと恋愛をしたくてウズウズする。
女でよかった、と思う。
大人の、溺れるような恋愛もいいけれど、
大人でも子供でもないこの年代の、
どう動けばいいかわからず、ただ浸り、潜り、あわてて抜け出そうとするような、
憧れと誤解も満載な、
そんな恋愛もとても素敵だ。
いつまでも大切にしたい作品。
強烈に不味そうな、嫌そうな顔をしたオヤジのイラストが表紙のこの本。
とてもじゃないが、女子がブックカバーなしで読める本ではない。
でも妙に気になったので購入。
珍しいタイプのグルメ本？
普通食通の本は、ここのが美味しい。
こんな風にあんな風に･･･ああ、羨ましい。
そんなパターンの本は多いのだが、この本はその逆。
確かに入る店入る店絶品逸品のはずもなく、
家で食べれば良かった、もったいなかったと後悔するケースも時によくある。
そんな体験を面白おかしく、食への執着すさまじい著者が語ってくれる。
ただ気になったのは、
リズムよくかかれているのに時折『〜でありますなぁ』というフレーズが入ること。
これが他の部分と言葉のリズムが違うために妙に浮いていて、
読んでいると毎回おっとっとっといった感じになり、もったいないなと思う。
そこを除けば軽妙な、ユーモアたっぷりのこの本は、
ちょっと暇ができた時などに最適な楽しい作品だ。
不グルメ「不味い集」改めて読むと面白い「不味い」とはそういうことだったのか！
イマイチ・・・大団円を目指した感じ。読後感はいまいち
これはおもしろかった。一つの物語を片側からみる「君へ。」の続編と言えるかもしれません
見てから読むか。読んでから見るか。その時にしかできないことをよかったです。
なかなか正直な恋愛エッセイ気軽に四字熟語に親しめる一冊